笹本 稜平

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文庫

光文社

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本書は、名前が示されない探偵を主人公とする全六話からなる連作短編小説です。

名前が示されない探偵といえば、プロンジーニの『名無しの探偵』や、ハメットの『コンチネンタル・オプ』、日本では 三好徹の『天使シリーズ』の「私」などが思い出されます。少々おっちょこちょいで能天気さを持つという点では 東直己の『ススキノ探偵シリーズ』に似ているのですが、内容はかなり違います。何しろ本書の探偵は暴力団に敵対するのではなく、主だった顧客が暴力団なのです。

最初イメージしていたのは 今野敏の『任侠シリーズ』だったのですが、そうでは無く、軽いタッチのハードボイルド小説でした。

ただ、笹本稜平という作家の力量からすると少々中途半端に感じられました。

登場人物は主人公の事務所の電話番である尻軽女の由子とS署一係の門倉権蔵刑事(通称ゴリラ)、そして山藤組や橋爪組といった地場であるS市の独立系の暴力団暴力団関係者と限定していて、こじんまりとまとまってしまっています。

登場人物だけでなく、主人公の”おれ”も暴力団の親分の言葉には逆わない使い走り的な立ち位置なのですが、それなりに存在感を出していこうとする雰囲気もあり、何となくキャラがはっきりとしない感じなのです。

もう少し、コメディなのかハードボイルドなのかのメリハリをつけてもらいたいと、読んでいる途中から思ってしまいました。笹本稜平という作家のスケールの大きさからすると、この物語ももっと面白くなる筈だと、ファンならではの勝手な言い分ではありますが、思ってしまったのです。

[投稿日]2015年04月04日  [最終更新日]2015年4月4日
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