佐伯 泰英

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吉原裏同心シリーズ』とは

 

本書『吉原裏同心シリーズ』は、江戸は新吉原を舞台に、吉原で起きる不始末を表に出さずに処理する裏同心を描く痛快時代小説です。

人妻と手に手を取り故郷を出奔した神守幹次郎が、示現流の遣い手として吉原の危機を防ぐ姿は、痛快時代小説の醍醐味を満喫させてくれるでしょう。

 

吉原裏同心シリーズ』の作品

 

2021年10月発刊の『吉原裏同心 36 陰の人』から、シリーズ名が再び『吉原裏同心シリーズ』としてこれまでの全巻を通して巻数が振られることになりました。
しかし、ここでは今しばらくはこのままの表記で通し、しばらく経って通し番号で違和感のない頃に修正しようと思います。

 

吉原裏同心シリーズ(完結)

  1. 流離
  2. 足抜
  3. 見番
  4. 清掻
  5. 初花
  6. 遣手
  7. 枕絵
  1. 炎上
  2. 仮宅
  3. 沽券
  4. 異館
  5. 再建
  6. 布石
  7. 決着
  1. 愛憎
  2. 仇討
  3. 夜桜
  4. 無宿
  5. 未決
  6. 髪結
  7. 遺文
  1. 夢幻
  2. 狐舞
  3. 始末
  4. 流鶯

新・吉原裏同心抄シリーズ(2024年02月27日現在)

  1. まよい道
  2. 赤い雨
  3. 乱癒えず
  1. 祇園会
  2. 陰の人
  3. 独り立ち
  1. 一人二役
  2. 晩節遍路
  3. 蘇れ、吉原

 

吉原裏同心シリーズ』について

 

理不尽な結婚に苦しんでいた人妻の汀女を連れて、故郷の豊後岡藩を出奔した幹次郎は、女仇討の追手に追われ、十年の流浪の旅の末、江戸・吉原に流れ着く。
廓を統括する吉原会所の四郎兵衛に剣の腕を見込まれ、幹次郎は廓で起こるトラブルを解決する「吉原裏同心」となる――。( 佐伯泰英 特設ページ | 光文社文庫 | 光文社 : 参照 )

 

舞台が吉原であるところがまず独特なのですが、痛快時代小説としてのつぼはちゃんと抑えてあります。

また、この神守幹次郎という主人公は薩摩示現流の達人で当然無敵です。

更には駆け落ちしてきた汀女という美人の妻はいますが、舞台が吉原ですから勿論花魁が出てきてこの主人公にからみます。

特に人気絶頂の花魁薄墨太夫は、後に落籍されて加門麻という本名で本編に加わり、幹次郎と汀女の人生に深くかかわることになります。

その他にも、吉原会所七代目頭取の四郎兵衛や会所の番方の仙右衛門、後に登場することになる嶋村澄乃、南町奉行所定廻り同心の桑原市松などの脇を固める登場人物もまた個性的です。

これらの登場人物による立ち回りと美女とユーモアと、定番ですが面白いです

 

当初の『吉原裏同心シリーズ』では、敵役は幕府の中核の大物で、主人公は吉原の用心棒として自分たちの生活、引いては吉原を守るためにこの巨大な敵に立ち向かうことになります。

この流れも、2017年3月からの『吉原裏同心抄』というシリーズになると、幹次郎の私的な生活にも変化があり、吉原に個別に襲い掛かる様々な障害を取り除く作業へと変化しています。

そして、2019年9月になると『新・吉原裏同心抄シリーズ』へと変化し、舞台が幹次郎のいる京、そして江戸の吉原と二つに分かれることになります。

 

2014年6月からNHK総合テレビの木曜時代劇で枠で、小出恵介と貫地谷しほりという役者さんでドラマ化されました。2020年08月現在ではまだDVD化されていません。

 

追記 :

冒頭に書いたように、2021年10月に発刊された『吉原裏同心 36 陰の人』から、シリーズ名が再び『吉原裏同心シリーズ』としてこれまでの全巻を通して巻数が振られることになりました。

「吉原裏同心抄」「新・吉原裏同心抄」と名前を変えたシリーズ名が、再び『吉原裏同心シリーズ』として統一されることになったものです。

また、2022年4月12日から第一巻から毎月二冊ずつ、紙と電子版とが同時に「決定版」として刊行されるそうです。

詳しくは下記サイトを参照してください。

それに応じて、上記作品紹介の欄も訂正すべきですが、いましばらくそのままにしておきます。

[投稿日]2015年03月21日  [最終更新日]2024年2月27日
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関連リンク

佐伯泰英 特設ページ | 光文社文庫 | 光文社
吉原裏同心シリーズ 光文社オフィシャルサイト
新刊情報 | 佐伯泰英 ウェブサイト
佐伯泰英新刊情報

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