猛然たる致死率と感染力を持つインフルエンザ・ウイルスが漏洩した。それと知らず、それぞれの人生を真摯に生きる人々。未婚で妊娠した学生、突然の成功に惑うロックシンガー、人の暖かさを知った放浪の青年…彼らの流す絶望と悲嘆の涙のなか、静かに世界は死滅してゆく。巨匠畢生の超大作、壮大な滅びの物語を序曲に開幕。(1巻 : 「BOOK」データベースより)
パンデミックにより人類が滅びたのちの世界で生き残る人々の姿を描いた、長編のホラー小説です。
軍の極秘研究による細菌は漏れ、人類は滅亡する。そのカタストロフィーを生き延びた、極く少数の生き残りの生存をかけた戦いを描く黙示録的物語です。
この物語がまた「IT」より長く、文庫本で五分冊もありますが、その分面白さもパワーアップしていると言え、ファンタジーでもあり、ロードムービーとも言えそうです。
キングの小説ではいつものことですが、本書では特に登場人物も多数に上りますが、その大多数をまた背景情報も含めてきちんと書き込んであります。
生き残りの人たちが見る共通の夢に導かれ、ひと組はある老女のもとに集まり、もうひと組は闇の男のもとに集まります。ここにはやはり神と悪魔の存在を見ても良いのでしょうか。
本書は、当初はそのあまりの長さにカットされて出版されていたらしいのですが、1990年に完全版として出版されました。
ちなみに、本書はスティーヴン・キング自身の脚本、製作総指揮のもと、1994年にミニシリーズとしてドラマ化されています。
また、さらに2013年にはハリウッドでのリメイクの話も出ていたそうですが、2020年3月現在、何の情報もありませんでした。