作家のニューマンは、マフィアの大物カールが殺人を犯す現場を偶然目撃してしまった。彼は警察に行き、裁判で証言することを確約して帰宅した。が、そこで待っていたのは、縛られて全裸で横たわる妻と、証言の撤回を求める脅迫電話だった。一度は脅迫に屈し証言を翻したニューマンだが、やがて屈辱感のなかで自ら銃を取り、カールへの反撃を誓った。スペンサー・シリーズの著者が鮮烈なタッチで描く男の壮絶な復讐劇。(「BOOK」データベースより)
主人公の再生の物語です。
パーカーという作家は男の誇りを取り戻す話が多いと思われます。この本もそうで、ある殺人現場を目撃したにも拘らずマフィアの脅迫に屈し証言を翻してしまった主人公は、同じく辱めを受けた妻と共に近所に住む軍人上がり友人の力を借りて己の尊厳を取り戻すために銃を手に立ちあがるのです。
男の復権の物語と言ってしまえばそれまでなのですが、スペンサーシリーズでもこの構図は随所に見られるように、男の生き方として誇りを失ってはならない、という強烈なメッセージを感じます。その主張を単に主張として終わらせるのではなく、面白い物語として仕上げていることがファンが多い理由なのでしょう。