荻原 浩

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文庫

新潮社

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テレビで放映された『愛しの座敷わらし』の原作者が荻原浩だと知り、図書館で荻原浩という名前を見つけるとすぐにに借りました。それが本書『オイアウエ漂流記』でした。

主人公はリゾート開発会社の若手社員・塚本賢司。トンガでの接待出張中に飛行機事故で遭難。スポンサー企業の御曹司にこびへつらう上司、無人島でもゴルフの素振りをする脳天気な御曹司、新婚旅行中なのにほかの男に色目をつかう新妻、ぼけた祖父を気遣う小学生……。塚本とともに無人島に流れ着いた個性的な9人と犬一匹の生活が、ユーモアあふれる筆致で進む。(PRESIDENT Onlineより引用)

読み始めはこの作家ははずれかと思いつつ読み進めていたのですが、しかし、物語がサバイバル生活に入った頃から俄然面白くなってきました。

書いてあることは、漂流記とは言っても子供の頃読んだ「十五少年漂流記」とは違い、南の小島で生き抜いて行く漂流者たちの日常が描かれているにすぎません。海賊も、悪漢も現れません。ひたすらその一日を生きるのです。その一日を生きるための、水を確保するその方法、火のおこし方、トイレの確保等々、サバイバル生活に必要な知識がこれでもかと詰め込まれています。

基本的なサバイバルの知識はかつて南の島で戦争をした経験を持つじいちゃんを配し、まずは生きていく上での基本は確保したうえで、「生きる」ということに特化して人間関係を絡めたドラマ作りが為されています。

つまり、遭難者同士の実社会での力関係が遭難後でも微妙な関係性を保ちつつ生きていたり、恋人や夫婦(になろうとする者)の関係性の変化など、その姿がユーモラスに描かれているのです。

そうした様々の要素の上に成り立っているのこ作品は、やはり面白いです。冒険小説や推理小説のような刺激的な展開はありませんが、それでもなおユーモアを抱えながらの意外な物語の展開は読者を引きつけてくれます。

ちなみに、「オイアウエ」は喜怒哀楽全般を表すトンガ語であり、感嘆詞として使われるそうです。

[投稿日]2015年04月08日  [最終更新日]2015年4月8日
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