三浦 しをん

イラスト1
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文庫

文藝春秋

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東京都の南西部に位置する町田市をモデルとした、「まほろ市」という架空の街を舞台にした人間ドラマを描いた作品です。主人公は便利屋を営んでいる多田啓介という、もう青年とはいえない男です。離婚歴のある彼の過去には子供の絡んだ哀しい過去があるのですが、そのことは少しずつ語られていきます。

その多田のもとに高校時代の同級生である行天春彦という男が転がり込んでくるところから物語は始まります。この行天という男が曲者であり、この物語の性格を決定づけていると言ってもいいでしょう。とにかく、ユニークなのです。

人気のある作家は大体そうだと思うのですが、面白いと思う作品は登場人物の性格付けが良くできていて飽きさせません。本書も二人のキャラクタが良く書き込まれています。普通ではあり得ない状況を、それなりのリアリティを持って描写するその筆力は見事です。

本書を読んでいて頭から離れなかったのは、映画化された本作の予告編でみた行天役の松田龍平のイメージです。それはまた、映画版『探偵はBARにいる』シリーズでの「高田」の印象に通じるものでもあります。ただ、本書の「行天」と「高田」とに共通するのは少々変人で、腕っぷしが強いというところだけなのですが。そしてそのイメージは決して邪魔ではありませんでした。それは松田龍平という役者の上手さであるのかもしれません。

また、三浦しをんの作品はとても読みやすい作品ばかりなのですが、本書もその例にもれません。この読みやすさをライトノベル風と評し嫌う人もいて、その批判は内容が伴っていないというニュアンスを含むようです。しかし、三浦しをん作品については、読みやすく楽しいのは勿論、人間も書き込まれていると思え、逆に評価は高いと感じます。感想は人それぞれだなと思うばかりです。

本書に取り上げられている物語は決して明るいものばかりではありません。親殺しや赤ちゃんの取り違えなど。どちらかと言えば暗いテーマばかりです。ところが、本書の二人が依頼を処理していくうちに、その暗い筈の問題提起はうまく回収されていきます。この作者は暗い話を軽くユーモアで包みながら、上手にまとめていくのです。

とにかく、個人的にはどストライクの作品なので続編を読みたいと思います。

[投稿日]2015年03月26日  [最終更新日]2015年3月26日
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