三浦 しをん

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新刊書

文藝春秋

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何といっても、本書では「はる」という女の子の存在が一番の舞台装置でしょう。そして、その「はる」と行天とのからみこそが見どころです。勿論、この二人に振り回される多田の存在があってのことですが。

多田は、行天の過去を知る女性から頼まれ、少しの間、「はる」という名の女の子を預かることになった。問題は極端なまでに子供を嫌う行天なのだが、なんとか騙しながらも三人の共同生活が始まる。三人で暮らす間にも仕事は入り、星の絡んだ依頼や、岡氏を中心とした年寄りたちの騒動に巻き込まれたりと、多田は息のつけない毎日を送るのだった。

この作品の主軸が「はる」だとすると、横軸として、無農薬野菜の推進団体の話があり、そこで多田と行天の過去が少しずつ明らかにされます。結局は二人の過去も「はる」に何らかの意味で繋がるものではあるのだけれど、そこには家族や夫婦のあり方など、読者に色々と考えさせられるものがあります。

加えて、個々の便利屋の仕事先での出来事も、そのそれぞれがユニークです。極めつけは、無農薬野菜の推進団体に裏社会のキング的存在の星が関わり、ちょっとした事件となって、そこにこれまた本シリーズの常連である岡氏が騒ぎを巻き起こします。

あらためて多田と行天を見ると、この面白くも不思議な関係は読者にとって一つの理想的な関係性かもしれません。「友情」などという言葉は過去のものであり、死語となりつつある現在ですが、そうした関係性には誰しも憧れるのではないでしょうか。そうした関係性を大声で主張することなく、いつの間にか作り上げていくところが、この著者のうまさなのでしょう。

何時までも続いてほしいシリーズの一つでが、本作品もまた2014年に前作同様の瑛太と松田龍平とで映画化されています。

[投稿日]2015年03月26日  [最終更新日]2015年3月26日
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