道尾 秀介

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道尾秀介著の『花と流れ星』は、ホラーシリーズである真備庄介シリーズの短編集です。

死んだ妻に会うために霊現象探求所を構えている真備。その助手の凛と、彼女にほのかな思いを寄せる、売れない作家・道尾の三人を中心として夫々の物語は進みます。

絶賛すべき面白さとまではいきませんが、一応の水準の面白さを持った作品集だった、というところでしょう。

 

死んだ妻に会いたくて、霊現象探求所を構えている真備。その助手の凛。凛にほのかな思いを寄せる、売れない作家道尾。三人のもとに、傷ついた心を持った人たちが訪れる。友人の両親を殺した犯人を見つけたい少年。自分のせいで孫を亡くした老人…。彼らには誰にも打ち明けられない秘密があった―。人生の光と影を集めた、心騒ぐ五篇。(「BOOK」データベースより)

 

この短編集には「流れ星の作り方」「モルグ街の奇術」「オディ&デコ」「箱の中の隼」「花と氷」の五編が収納されています。でも、ホラー小説というイメージではありません。

死んだ妻に会うために霊現象探求所を構えている真備。その助手の凛と、彼女にほのかな思いを寄せる、売れない作家・道尾の三人を中心として夫々の物語は進みます。

 

個人的には一番最初の「流れ星の作り方」が一番好きでした。泡坂妻夫の作品を思いだすようなちょっとした仕掛がありながら詩情の漂う作品なのです。

読んでいてホッとすると同時に、仕掛けにはまった驚きも心地よい作品でした。

 

二作目の「モルグ街の奇術」も、テーマがテーマだけにポーの作品めいて怪奇趣味を持った小品で、それでいてひねりが効いていて面白い作品でした。

 

残りの三作品は、前の二作品に比べると少々失速気味の印象がありますが、それでも面白くない作品という訳ではありません。

真備庄介シリーズということで慌てて手に取った作品だったのですが、この作品の前に出版されている、二編の長編作品を読んでいなくても十分に楽しめる作品でした。

[投稿日]2015年04月20日  [最終更新日]2020年7月4日
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