松崎 洋

イラスト1
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文庫

幻冬舎

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中学時代バスケットで好成績を残した主人公の田所陽一は、名門のH校に入ったがいじめにあい都立T高校に転入する。一度はバスケットを止めようと思った陽一だったが、あまりにT高バスケット部が下手なため、再度ボールを手にするようになるのだった。2年に進級した陽一はチームを率い新入部員と共に春の大会を経て秋の大会に出場し、いじめにあったH校と対戦する。

以上が第一巻のおおまかなあらすじで、一言でいえば、軽く読めるジュブナイル小説です。教訓めいたエピソードでつないだ物語と言ってもいいかもしれません。筋立ても少々ご都合主義的な個所も散見され、キャラも漫画チックです。それでも、いじめ問題に真面目に、正面から取り組んでいる真摯な姿勢は好感が持てます。青春小説として人気があるのも良く分かるシリーズです。

この後、3年になり、そして卒業して社会人になりT高バスケット部の後進を指導する陽一や、社会に出て苦労する仲間である俊介、チビ、メガネ、のぞき魔達のその後が描かれます。

3年生の2巻目、3巻目辺りまではまだジュブナイルではあってもそれなりに面白い青春小説として結構面白く読み進めました。しかし、高校を出て夫々の道を歩き始める4巻目辺りから少しづつ説教じみた台詞が目立つようになってきます。それまでもいじめ問題などに正面から立ち向かう姿勢が見えて、それはそれなりに好感をもって読めていたのですが、説教臭が前に出過ぎると途端に小説としての面白さは後退してしまいます。一応2013年10月時の最新刊である9巻まで読み終えてはいます。しかし、それはどんどん惰性に近くなってきているのです。

せっかく、バスケットボールという舞台を得て、いじめ問題にも多様な意見はあるものの、それなりの評価を得ている物語が出来上がってきていたのにとても残念に思います。当初の新鮮な意気込みでの展開をもう一度期待したいと思います。

現時点(2015年04月01日)では第10巻まで出ています。

[投稿日]2015年04月19日  [最終更新日]2015年5月23日
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