今野 敏

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講談社

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信頼喪失であせる警視庁が考え出した特命グループ、警視庁FC。彼らの使命は、映画やドラマの撮影に便宜をはること。マル暴の刑事、ミニパトの女性警官、交機の白バイ隊員が集められ、憧れの業界仕事にとりくんだが―。いきなり、助監督殺人事件が発生。二転三転のとんでもない展開の警察小説が始まる!! (「BOOK」データベースより)

本書『警視庁FC』のFCとは「フィルム・コミッション(英語:Film Commission)」を意味し、「映画等の撮影場所誘致や撮影支援をする機関である。地方公共団体(都道府県・市町村)か、観光協会の一部署が事務局を担当していることが多い。映画撮影などを誘致することによって地域活性化、文化振興、観光振興を図るのが狙いとされるため、地方公共団体が担当している場合、その部署はそのいずれかの関連部署になっているようである(ごくまれだが、フィルムコミッションそのものの担当部署を設けているところもある)。(出典 : ウィキペディア)」ということだそうです。

本書で語られる「FC」は、上記のようなサービスを警察内に設けて市民への便宜を図ろうとしている動きを言います。現実にはロケ地での交通整理やロケ地を縄張りとするヤクザへの対応などのことがあるのでしょう。

主人公楠木は、警視庁の地域部地域総務課の所属だったのですが、ある日突然に新設された「FC室」との兼務を言い渡されます。そこには通信指令本部の管理官であった長門室長を始め、マル暴の山岡諒一、交通部都市交通対策課の島原静香、交通部交通機動隊の服部靖彦らが集まっていたのです。

彼らが出動していたとある撮影の現場で助監督が殺されるという事件が起きます。本書の主人公の楠木は「できれば努力しないで一生を終えたい」と考える警察官ですが、マル暴の山岡らは事件に関心を示し、結局事件にかかわることになるのです。

今野敏の小説には、『隠蔽捜査シリーズ』や『安積班シリーズ』のようなリアルな警察小説も人気を博しているのですが、一方『任侠シリーズ』の流れをくむ『マル暴甘糟』などユーモラスな雰囲気を持った作品も存します。本書はこの「ユーモラス」な分野における今野敏の長編警察小説です。

楠木の「心の声」であるぼやきを随所に挟みながら、物語はテンポよく、そしてこの手の物語の定番として都合よく進みます。同僚警察官らに対する愚痴であったり、山岡に対しての批判などを読者に示しながら、そうした内心は外には全く見せずに『状況に流されていくと、それが事件解決へと結びついていくのです、

ここらの物語の進め方はさすがに今野敏であり、細かな不都合点などはテンポの良さに押し流され、結局読み終えてしまうだけの面白さを持った小説です。

[投稿日]2016年12月24日  [最終更新日]2016年12月24日
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