近藤 史恵

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新潮社

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プロの自転車競技(ロードレース)を舞台としているスポーツ小説で、また青春小説でもあり、そしてミステリーでもある贅沢な小説で、第10回大藪春彦賞受賞作品です。

ぼくに与えられた使命、それは勝利のためにエースに尽くすこと―。陸上選手から自転車競技に転じた白石誓は、プロのロードレースチームに所属し、各地を転戦していた。そしてヨーロッパ遠征中、悲劇に遭遇する。アシストとしてのプライド、ライバルたちとの駆け引き。かつての恋人との再会、胸に刻印された死。青春小説とサスペンスが奇跡的な融合を遂げた!大藪春彦賞受賞作。(「BOOK」データベースより)

私の場合、これまで自転車競技、なかでもロードレースに関する知識と言えば、「ツールドフランス」という言葉や。それに関連してアームストロングという選手のドーピング問題が騒がれたことが記憶に残る程度でしょうか。そういえば、私がスタジオジブリのアニメと勘違いしていた『茄子 アンダルシアの夏』というロードレースを描いた作品があり、これは面白い作品でした。

それくらいしか知識、関心が無いロードレースなのですが、本書『サクリファイス』は冒頭から惹きこまれてしまいました。本書の最初に、全く予備知識のない読者にもロードレースというものがどのようなものなのか、が丁寧に説明してあるのです。

さらに、なじみの薄い自転車競技についての説明はまだ分かるのですが、主人公のチームの優勝に向けて縁の下の力持ちに徹し、レースの優勝は目指さない「アシスト」という立場が分かりにくいのです。この点は、ロードレースという競技が素人考えでは個人競技としかとらえられないのですが、それを個人競技の要素も持ち合わせたチームプレイとして別な視点から見ればいいのかもしれません。

本書を青春、スポーツ小説として読んでいくと、そのうちにサスペンス小説としての魅力に気づきます。ある登場人物の過去にまつわる秘密にまつわる出来事に気を取られていると、悲劇が巻き起こるのです。

自転車競技に詳しい人からは現実とは違うなどの批判もあるようですが、自転車競技の実態を知らな一般読者には臨場感に満ちた描写として満足できる作品だと思えます。

恋愛に絡めた描写もあるのですが、個人的にはその部分は無くてもいいかなと思いました。

自転車競技と言えば、大人気のコミックがあります。『弱虫ペダル』という作品ですが、私は全巻を読んだわけではないのでどこまできちんと描写してあるのかは分からないのですが、数冊を読んだ限りではなかなかに面白そうな作品でした。この作品はアニメ映画化もされていてかなり評判も良いようです。

他にも自転車競技を取り上げた小説もあるようですが、私は未読です。

本書には『エデン』『サヴァイヴ』『キアズマ』といった続編も出ています。

[投稿日]2016年02月10日  [最終更新日]2016年2月10日
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