梶尾 真治

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文庫

祥伝社

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梶尾真治お得意の故郷熊本を舞台にした癒し系のファンタジー長編小説です。

現代の科学では解明できない謎の商品“おもしろたわし”を調査してほしい―。商社マン・宮口翔一は常務からの特命を受けて、生産地の天草諸島の壱里島へ飛んだ。しかし、その小さな島は強力なパワースポットと化し、奇妙な現象が次々と起こっていた。翔一は知り合ったオカルトライター・機敷埜風天とともに“問題の地”信柄浦岳を目指すが…。西の涯ての伝説の地で何が起こったのか?感動と驚愕の癒し&奇跡系ファンタジー。(「BOOK」データベースより)

主人公の宮口翔一は、故郷熊本の観光スポットでもある天草にある壱里島という島で「おもしろたわし」という不可思議な代物を調べるように命じられ、その地で不思議な出来事に出合います。

いつものタイムワープものではありません。その代わりに、ある不思議な存在が設定されています。いつもならば時間旅行を使うところをこの不思議な存在を道具としているのです。

更には、梶尾真治作品の特徴の一つであるロマンチシズムが、無いとまでは言いませんが一歩引いています。代わりに恋人や家族、そして家族に対する想いが全面的に展開されています。

この作品では、核廃棄物処理施設建設という現代的な問題が正面から取り上げられています。宮口は町長らが推進するこの建設に反対し、一大運動を展開しようとするのですが、そこに前述の不思議な存在がかかわってくるのです。

この作家はあまり現代の社会問題を正面から取り上げることはあまり無いように思います。『エマノンシリーズ』などをみると自然を破壊する人間の開発行為に対する警鐘を読み取ることができる作品が少なからずあります。でも、本書では主人公自らが反対運動の中心人物となって動くのです。

ただこの作家のことですから、一般の社会派の小説のように運動を描くことで核廃棄物処理施設の問題を浮かび上がらせる、などという道筋はたどりません。そこでファンタジーの系譜に連なる展開を見せるのです。

また、私個人としては梶尾真治の作品の中でベスト3に入る作品だと思う『クロノス・ジョウンターの伝説』に出てくる機敷埜風天という重要人物も顔を見せ、物語に深く絡む重要な役割を果たしている点も見逃せません。

[投稿日]2016年09月17日  [最終更新日]2016年9月17日
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