池波 正太郎

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新潮社

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上泉伊勢守信綱は戦国時代に今の群馬県(上州)の城持ちの武将でありながら、剣聖と呼ばれた人です。上杉謙信の力を借りて武田信玄や北条氏康等と戦い抜きながら、後に城を嫡男にまかせ、剣の道を極めるために旅に出ました。

本書ではそうした上泉伊勢守信綱の武将としての側面を描いてあります。

本書での上泉伊勢守は冒頭で既に38歳であり、北条との戦いの只中にいます。そして上泉伊勢守信綱が武田信玄との戦いに敗れ、一介の剣士として旅立つまでの話を中心に、その後の伊勢守の消息も含め描写してあります。

また、伊勢守とある女性との係わりをも描いて物語に色を添え、もう一方で伊勢守に対立する剣士として十河九郎兵衛という剣士を登場させています。勿論、柳生宗巌や宝蔵院胤榮等も登場します。

上泉伊勢守信綱を描いた作品として他に 海道龍一朗の「真剣」があります。「真剣」では剣聖としての上泉伊勢守信綱に焦点を当て、少年期から宝蔵院胤榮との戦いまでを「剣」との関わりを中心に描いてありました。

私個人の好みは「真剣」の剣聖としての上泉伊勢守信綱の面白さを買うのですが、人間上泉伊勢守信綱を読みたい人はこの本でしょう。池波正太郎という作家の「鬼平犯科帳」や「剣客商売」と同じレベルとまではいかないでしょうが、十分に面白い物語です。

[投稿日]2015年04月01日  [最終更新日]2015年4月1日
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