東山 彰良

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文庫

集英社

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何とも、ただ猥雑としか言いようのない本でした。

俺、28歳。金もなけりゃ、女もいない。定職にも就いてない。同い年の喜彦とつるんでは行きつけのバーで酒を呑み、泥酔したサラリーマンから財布を奪ったりしてはソープランドへ直行する日々。輝いて見えるものなど何もなかった。人生はタクシーに乗っているようなもので、全然進まなくても金だけはかかってしまう。そんな俺たちに今日も金の臭いがするトラブルが転がり込む。第11回大藪春彦賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)

作者の東山彰良氏は『流』という作品で2015年の直木賞を受賞しています。ただその事実だけで、他の作品を読んでみようと、どうせ読むならば第11回大藪春彦賞を受賞しているこの作品を読んでみよう、という思いだけで手に取った作品です。

千葉の船橋を舞台に、まったく普通の二人のチンピラの行動を、ただただ追いかけている、そんな物語なのです。あらすじめいたものが何もないこの物語は、しかしながら選者のひとりである馳星周氏の「どれだけ技巧を凝らしたミステリも、・・・・・・頭に浮かんだことをただ綴っていった物語に蹴散らされてしまった。」という絶賛の言葉がありました。

つまりは、「二人の行動を、ただただ追いかけている、そんな物語」だと言う私の印象そのものは外れてはいないのですが、その評価は全く違うのです。

大藪春彦賞の選考委員四人全員の満場一致で決まったらしく、プロの目で見ると「才能豊か」となるのですから、いかに私の読みこみが薄いものか、思い知らされました。実際、東山彰良というこの作者は、その数年後には『流』で直木賞を取る作家となるのです。

馳星周氏に代表される(と言っていいかは不明ですが)ノワール小説という分野を、私はあまり知りません。だからなのかもしれませんが、本書『路傍』は、若干受け付けないところがあったのかもしれません。

でも馳星周氏が言うように「語り口の心地よさ」を感じていたからこそ、それほど苦でもなく最後まで読みとおしたのでしょう。そうだと思うことにしておきます。

[投稿日]2016年01月31日  [最終更新日]2016年1月31日
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おすすめの小説

おすすめのノワール小説

『路傍』とは趣の違う小説のほうが多いですが、とりあえずはワルをメインにした小説ということです。
不夜城 ( 馳 星周 )
第15回日本冒険小説協会大賞大賞や第18回吉川英治文学新人賞を受賞している作品です。中国人の勢力争いが激化している、不夜城と言われる日本一の歓楽街新宿の街もを舞台に、日本と台湾のハーフ・劉健一が一人の女にのめりこんでいく。
夜の終る時 ( 結城 昌治 )
本書を原作とするテレビドラマがありました。室田日出男が主人公の悪徳刑事を演じたそのドラマは今でも忘れられません。
禿鷹の夜 ( 逢坂 剛 )
本書が第一作の禿富刑事を主人公とするシリーズは、その悪徳刑事のキャラクターにおいて強烈な印象を残しています。
白夜行 ( 東野 圭吾 )
19年前の大阪の質屋殺し。迷宮入りしたこの事件に関係した少年と少女が歩んだ道は…。
東京デッドクルージング ( 深町 秋生 )
オリンピック開催間近の近未来東京で、脱北者の殺人兵器の女と、右翼の民兵となった下流出身の若者たちと、中国の諜報組織が三つ巴で殺しあうハードアクション小説。
水の中の犬 ( 木内 一裕 )
他では誰も引き受けないような面倒な依頼を断らず引き受ける、そんな私立探偵が主人公です。依頼を調査していくうちに、いつも徹底的に叩きのめされ、結果、誰にとっても救いのない結末が待つのです。シリーズ続編とは趣きを異にする第一作目です。
本

関連リンク

asahi.com(朝日新聞社):『路傍』で大藪賞、東山彰良さん
描いたのは、悪さや危ない商売ばかりしている、都会の若者の生態。「現代社会の路地裏」を生きる痛みとほろ苦さの裏に、たしかな居場所を持ちにくい作者自身の冷めた視線がのぞく。
『路傍』東山彰良|担当編集のテマエミソ新刊案内|集英社
学もカネも仕事もない船橋のビート・ジェネレーションが房総半島を突っ走る。これが2008年の『オン・ザ・ロード』だ。
馳星周×東山彰良 『ソウルメイト』文庫化記念対談 - web 集英社
お二人の出会いは10年前。旧知のお二人に、『ソウルメイト』誕生秘話や、執筆についてのあれこれをふんだんに話していただきました。

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