はるか古代から続く「ヒ」一族は、国が動乱期にさしかかると、特殊な能力を使って危機を救ってきたといわれる。その能力とは、御鏡、依玉、伊吹と呼ばれる三種の神器を使ったテレパシー、テレポーテーションであった。物語は戦国の世、織田信長の比叡山焼き討ちから始まり、関ヶ原、幕末、太平洋戦争、そして戦後の混乱期へと四百年の時を越える。歴史の襞の中で動く「ヒ」一族を圧倒的スケールで描くSF伝奇ロマンの傑作。(「BOOK」データベースより)
半村良らしい長編の伝奇小説です。
この産霊山秘録も40年くらい前に読んだ本です。
日本の歴史の陰に存在したヒ一族の物語が展開されます。奇想天外なのだけれど妙に納得させられながら読み終えてしまいました。それこそ巧妙な嘘の積み重ねでいかにも真実らしく見せかけて物語が進んでいってしまうのです。
この巧妙な嘘に乗っかって読み終えると、かつてのSFで言われたセンス・オブ・ワンダーにも通じる喜びがあります。それこそが『石の血脈』でも述べた半村良のほら話の面白さなのでしょう。
残念ながら、古書しか見当たらず、書籍の写真すらありません。そこで、上記の写真はKindle版のものを借りています。従って、写真のリンク先はKindle版です。