濱 嘉之

イラスト1
Pocket

新刊書

講談社

写真は Amazon にリンクしています。

楽天Booksは 警視庁情報官ハニートラップ (講談社文庫) [ 濱嘉之 ] へ。


色仕掛けによる謀報活動―「ハニートラップ」に溺れた日本の要人は数知れず。国防を揺るがす国家機密の流出疑惑を追う警視庁情報室トップの黒田は、漏洩ルートを探るうちに、この「罠」の存在に気が付いたが…。「情報は命」そう訴える公安出身の著者が放つ、日本の危機管理の甘さを衝いた警察小説の最前線。(「BOOK」データベースより)

公安警察官である黒田純一を主人公とする警視庁情報官シリーズの第二弾です。

本書では、まず小笠原の警察署署長として赴任している黒田純一の姿が描かれています。前巻での仕事の後の、一息入れることができる休暇のような勤務先でした。しかし、防衛省が絡んでの情報漏洩問題が発生し、再び情報室が再結成されることになり、黒田は再び中央に呼び戻されることになったのです。

情報漏えいの裏を探っていくと、そこには本書のタイトルにもなっているハニートラップにかかった役人の姿が明らかになってくるのです。描かれている事実が筆者の体験に基づくものなのか、それとも全くのフィクションなのかは分かりませんが、情報獲得の手段としてのハニートラップという言葉は、小説の世界だけではなく聞く言葉でもあります。

こうしたハニートラップの実態を暴くべく、警察が一丸となり、イージス艦絡みの情報漏えいに対する捜査網が敷かれ、黒田らが中心になって活躍するのです。

本書に描かれている情報の量は莫大なものがあり、その多量の情報を消化しきれないままに物語は進みますので、よほどきちんと読みこんでいかなければ、置いて行かれることになりかねません。少なくとも私はそうでした。

この情報を丁寧につぶしながら読んでいくことができれば、より読み応えのある小説だと思えるのではないでしょうか更に言えば、社会、経済情勢に強い人であればもっと面白い小説だと実感できたかもしれないと思います。

ただ、本書の場合文章が説明的です。会話文で流れを作っていくことが多い通常の他の警察小説、エンターテインメント小説とは少々その趣が異なります。

でも、それはもしかしたら濱嘉之という人が小説家としては新人というところからきているのかもしれません。であれば、もっと情報を整理して物語を構築できていれば、もっと読みやすい小説として仕上がったのではないかと思われます。

とはいえ、すでに人気小説としてシリーズ化もされているのですから、こうした意見はここだけのものなのでしょう。

ハニートラップが描かれたインテリジェンス小説としてすぐに思い出す作品は、残念ながらありません。ただ、話の本筋ではありませんが、 柳広司の『ジョーカー・ゲーム』という連作短編小説作品のなかの「ロビンソン」という話の中で、D機関の伊沢が英国の諜報機関にスパイ容疑で逮捕されてしまいますが、その逮捕の原因がハニートラップにかかった外交官が情報を漏らしていた、というものがあります。

他にもあるとは思いますが、インテリジェンス小説自体がそれほど多いものではなく、そんな中で私が思い出すのはこの作品だけでした。

[投稿日]2017年09月14日  [最終更新日]2017年9月15日
Pocket

おすすめの小説

おすすめの公安警察関連小説

警察小説としての公安ものから、インテリジェンスの世界を前面に押し出したスパイものまで、色とりどりです。ほとんど未読です。
倉島警部補シリーズ ( 今野 敏 )
公安の倉島達夫警部補を主人公とする、一種の成長物語でもある独特の物語で、今野作品らしく非常に読みやすい物語に仕上がっています。
背乗り ハイノリ ソトニ 警視庁公安部外事二課 ( 竹内明 )
背乗り【ハイノリ】とは、諜報員や犯罪組織の構成員が、行方不明者などの戸籍を乗っ取って、その人になりすますこと――。知られざる日本の闇、公安捜査の内実に迫る、衝撃作!
ZERO ( 麻生幾 )
公安警察の驚愕の真実が日中にまたがる諜報戦争とともに暴かれていく。逆転に次ぐ逆転、驚異の大どんでん返し。日本スパイ小説の大収穫でありエンターテインメント小説の最高峰
百舌の叫ぶ夜 ( 逢坂 剛 )
警視庁公安部所属の倉木尚武警部を主人公とする「百舌シリーズ」の第一作です。ほかに公安第二課捜査官の明星美希、それに警視庁査一課の大杉良太といった魅力的な人物が、物語に色を添えている、ハードボイルドタッチのアクションエンターテインメント小説です。
Op.ローズダスト ( 福井晴敏 )
都心でネット財閥「アクトグループ」を標的とした連続爆弾テロ事件が発生した。公安の並河警部補は、防衛庁から出向した丹原三曹と調査に乗り出すが…。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です