福井 晴敏

イラスト1
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文庫

講談社

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東京湾に浮かぶ最新鋭のイージス艦「いそかぜ」が、北朝鮮の工作員とそれに同調する自衛官のグループに乗っ取られてしまう。このテロリストは生物化学兵器「GUSOH」を有しており、テロリストグループに東京を人質に取られたも同様だった。この「いそかぜ」に先任警衛海曹仙石恒史と防衛庁情報局(DAIS)所属の如月行とが潜り込み、テロリストたちに立ち向かうのだった。

本書も、文庫本の上下巻を合わせると千百頁を超える分量という長い作品です。でも、その物語が決して長過ぎるとは感じません。先に書いたように、ディテールを詳しく書き込んであるのですが、それが冗長に感ぜずに、舞台背景や人物の関連などの理解に役立っています。

自衛隊の装備や専門用語についても詳しく解説してあります。そうしたハード面の描写に加え、登場人物の人物造形もメリハリよく描写してあります。更には、その多数の登場人物たちの人間関係の描写も読ませ、特に仙石恒史と諜報員としての実態を持つ如月行との関係は胸に迫るものがあります。加えて敵役のテロリストたちもその思想や生活の背景の描写は詳しく、心情として犯人側に傾きやすい背景を用意したりと、小説としての構成も上手いと感じさせられました。

とにかく、骨太の物語で細かなところまでまで詳しく書き込まれた、日本には珍しいタイプの小説です。本当は実に細かなところでの間違いもあるらしいのですが、気にする必要も無いところでしょうし、筋立ても読み手を裏切る意外性に富み、第一級の冒険小説だと思います。

日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞、大藪春彦賞を受賞しています。

[投稿日]2015年04月18日  [最終更新日]2015年4月18日
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