下城の太鼓が鳴ると、いそいそと家路を急ぐ、人呼んで「たそがれ清兵衛」。領内を二分する抗争をよそに、病弱な妻とひっそり暮してはきたものの、お家の一大事とあっては、秘めた剣が黙っちゃいない。表題作のほか、「ごますり甚内」「ど忘れ万六」「だんまり弥助」「日和見与次郎」等、その風体性格ゆえに、ふだんは侮られがちな侍たちの意外な活躍を描く、痛快で情味あふれる異色連作全八編。(「BOOK」データベースより)
藤沢周平の代表作の一つである全八編の異色の連作短編集です。
どの作品も、剣の達人でありながら普段は同輩との付き合いもない生活をしているのですが、その剣の腕前を披露せざるを得ない状況が作られていきます。
中でも表題にもなっている「たそがれ清兵衛」はやはり「海坂藩」が舞台です。
剣の達人ではあるが、妻のために定刻には家に帰るところから「たそがれ清兵衛」と呼ばれる主人公が、主命により上意討ちを果たすという展開です。
山田洋次監督の映画版「たそがれ清兵衛」は、他に「竹光始末」「祝い人助八」が使われているので、この本とは筋が異なります。でも、この映画もよかったですね。真田広之の東北なまりでの演技もよかった。
ちなみに他の山田洋次監督の時代劇二作品、「武士の一分」「隠し剣 鬼の爪」も藤沢周平の作品が原作ですね。