D・ハメット

イラスト1
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文庫

早川書房

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探偵サム・スペードのもとに妹を連れ戻してほしいと女が来た。その依頼を受けた相棒のマイルズ・アーチャーが妹を連れているという男の尾行を始めたが、その夜、相手の男と共にアーチャーも殺されてしまう。サム・スペードは事件の裏に「マルタの鷹」という像の存在があることに気づく。

ダシール・ハメットは、実際に勤めていたピンカートン探偵社で培った探偵業務の経験を生かして、以後ハードボイルドと称される作風を確立したそうです。それまでの推理小説の在り方を否定し、リアリティーを追求し、ハメットが自らの体験をもとに魅力的な人間像を造りあげました。それが本書の主人公であるサム・スペードです。そのサム・スペードはあちこちに首を突っ込んで相手を叩きのめし、また逆に叩きのめされながらも、そこから何がしかの事実をつかみ取り、真実に近づいていきます。その行動の過程の描写は簡潔で暴力的であり、叙情性は全くないのです。

本書を今回読み返してみて、「とても面白い」とは思えませんでした。面白くないとも言えないのですが、私が好きなハードボイルドとしての北方謙三、志水辰夫、東直巳を読み慣れていたからでしょうか、違和感を感じてしまいました。

本作はまるでハンフリー・ボガードの映画の世界です。明るい街中ではなく常に暗い裏町のイメージであって、場面が常に狭いのです。事実を短文を羅列して描写するためか、行為をそのまま描くと言う意味で説明的であり、感情移入を拒まれている感じです。

まさに、それこそが狙いであり、ハードボイルドと言われる所以でしょう。チャンドラーの作品でも若干の違和感を感じはしたのですが、本作品ほどではなかったのですからやはりハメットとの相性なのでしょうか。

乾いた文体が好みの方にはたまらない一冊だと思います。

[投稿日]2015年04月29日  [最終更新日]2015年4月29日
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