D・バグリィ

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文庫

早川書房

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バグリィをベストセラー作家として確立した作品です。というより、70年代に日本で出版された冒険小説の中でのトップクラスの人気を誇っている作品と言って良いででしょう。

ティム・オハラは朝鮮戦争を戦ったパイロットだったが、戦いの中で負ったつらい過去を忘れるためにも南米の山中で小さな貨物運輸会社の雇われパイロットをしていた。ある日、少数の旅客を載せた貨物機でトラブルが起きアンデス山中に墜落してしまう。麓を目指す生き残りの乗客だったが、何故か共産ゲリラの襲撃を受けるのだった。

一行は何の武器も持ちません。しかし、軍人であったという過去を持つものの決して特殊な能力を持つ訳ではない普通の男のオハラを中心に、歴史学者の出したアイデアをもとに投石器や石弓を作り上げゲリラに対抗するのです。そこには男も女も無く、一致して共産主義者に対抗する、という強い意志があります。

先日、多分20年ぶりに再読しました。最初に読んだのは学生の頃で40年近くも前になるのでしょうか。相変わらず一級の面白さを持った小説でした。

魅力的な登場人物が知恵の限りを尽くして戦う描写の面白さ。そして、日本冒険小説協会のサイトの中の今は亡き内藤陳氏のコメントにも引用されている名文句、「血が男の中に流れている限り、不可能ということはないんだよ」というセリフにも示されている、男の、というよりも本書に関して言えば、人としての魅力的な生き様が示されていることは普遍に心を打つのでしょう。

しかし、最初に読んだときほどの感動は、多分、ありませんでした。勿論、再々読ですので最初に読んだときほどの驚きは無いのでしょう。しかし、何といっても時代背景が今とは異なるという点が一つ。そして何よりも当時とは異なり日本にも良質で面白い冒険小説が数多く出されていて、その多くを読んでいるということが大きいのではないでしょうか。

D・バグリィという名前は、『鷲は舞い降りた』のジャック・ヒギンズや『ナヴァロンの要塞』のアリステア・マクリーン、それにギャビン・ライアルらと共にやはり巨匠であり、いつまでも冒険小説界を代表する作家として語られると思います。

[投稿日]2015年04月29日  [最終更新日]2015年4月29日
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